悲劇のBルート
8月16日、雨に降られて
蒸し暑さの増した気がする仙台です。
昼過ぎ、仙台市中心部では急に
雨脚が強まりました。
私は出先から移動するところでしたが、
間の悪いことに傘を持っていません。
とりあえず屋根のある場所に行こうと、
アーケード街に小走りで向かっていたその時、
濡れた石畳風の歩道で左足がツルン!
と勢いよく滑りました。
スニーカーの底がすり減っていたようです。
万事休す、と思いきや、
そこは人間の本能が働いて、どうにか
何事もなく踏みとどまりました。
やれやれ。めでたしめでたし。
しかし……
無事にたどり着いたアーケード街を歩きながら、
私は妙なことを思い始めるのです。
「もしあのまま転んでいたら、それはそれで?」
本能で回避し、実際には起こらずに済んだ
悲劇の「Bルート」も見てみたかったな、などと。
[以下、都合の良い「Bルート」]
大の大人が派手に転倒するので、
「すってんころりん」どころではない
大きな音を伴っていたでしょう。
繁華街の一角なので、嫌でも注目を集めます。
人望の無さを差し引いても、
さすがに誰かは助けてくれるはずです。
惨めな姿の自分に心を折られていた私は、
人の優しさ、温かさに感動しながら
「ありがとうございます」を絞り出し、
「また頑張ろう!」と起き上がるのでした……。
……いやいや。
とんでもない恥ずかしさに耐えかねて
何事もなかったようにイソイソと立ち去り、
後で自己嫌悪に苦しむだけでしょうに。
絶対に痛いですし。
今回のBルートは我ながら「何考えてんだ」の
レベルが度を越していましたが、
「もしあの時こうなっていれば」という "if" に
やたらと考えを巡らせる時というのは
(イフの内容はどうあれ)
精神衛生がよろしくないのだと思います。
今回は重症かもしれません。
転ばずに済んだ現実に感謝しながら、
メンタルの正常化を待ちたいと思います。