在仙ライター生きていく日記

「きれいごと」と言われても。

あの日も汽車は走っていた

8月15日、時折雨の降る仙台です。

お盆休みは今日で終わりという方が

多いのでしょうか。明日からは

少しずつ日常に戻るのですね。

夏も終わりに近づいています。

 

終戦の日です。

私と言えば、今日も今日とて

仕事の種まきも思うに任せず、

捗ったのは家の買い物と

少々の読書だけでした。

 

今日読んでいたのは、

中央公論』元編集長で紀行作家、

故・宮脇俊三さんの『時刻表昭和史』です。

激動の時代を当時の時刻表、

著者の体験とともに紐解く作品には、

昭和20年8月15日についても綴られています。


※私は以下の文庫で読みました。

www.chikumashobo.co.jp

 

当時、新潟県村上に疎開していた著者は、

父の仕事に付いて汽車で山形県大石田へ行き、

新潟県に戻る途中でした。

そして長井線米坂線の乗換駅、今泉で

正午を迎えます。

駅前広場に置かれたラジオで

地元の人達とともに玉音放送を聞いたそうです。

 

ほどなくして、駅員が米坂線の汽車の到着を告げ、

著者らを乗せて定刻通りに発車しました。

著者は車窓を流れる美しい山河を見ているうちに、

止まっていた時が動き出したと綴っています。

 

汽車は、確かに時を刻み続けていたのでした。

 

www.kadokawa.co.jp

 

先日の豪雨で、JR米坂線は鉄橋が損壊するなどの

甚大な被害がありました。

地方路線の存廃に関する議論が高まる最中の被災で、

今後が大いに危ぶまれています。

 

米坂線をはじめ、

災害によって列車の途絶えた各地のレール。

止まった時が再び動き出す日が来ることを

祈るばかりです。