良きものを長く。
2月15日、雪の強まる時間帯もあった仙台です。
市内の北部にある取材先へと運転中、
一気に視界が悪くなり、
路面もみるみる白くなっていきました。
幸いにして大雪にはなりませんでしたが、
まだまだ油断ならないですね。
そういうわけで、今日も取材の日でした。
また一つ「納期」は増えましたが、
先ほど別の原稿を一つ納品できたので、
だいぶ気は楽です。
今日納品した原稿は、色々なハプニングにより
取材時間を思うように取れず、
かなり限られた素材から料理する必要がありました。
取材にご協力いただいた方の
「話していたことだけを書く」というのが理想、
というのは毎回思いながらも、
今回は特に理想を追求することが難しいケースです。
手を変え品を変え、表現を選びつつ、
かと言って「創作」になってはいけませんし、
もっと悪い言葉で言うところの
「捏造」「歪曲」には絶対にならないよう、
細心の注意を払いながら所定の文字数を目指しました。
私の物書きとしてのキャリアは
伝統的な紙媒体からのスタートだったのですが、
いかに限られた文字数で情報量を担保するか、
つまり「短い」ことが正義の一つでした。
まるで吟醸酒を造るがごとく、
最初に書いた文章を削って削って身軽にし、
生まれた余裕に新たな情報を盛り込んで
質を高めるという方法です。
一方、今ライター業として携わっている仕事には、
多くの場合、目安の文字数が決められています。
この段落は300字以上、この記事は2千字程度、
といった具合です。
フリーランスで活躍するライターさんは、
仕事を受ける条件として字数あたりの単価を
設定されている方が多いですね。
特にWEBは盛り込める情報量が紙とは段違いなので、
どちらかと言えば「長く書ける」能力の方が
重宝される文化なのかな、と思います。
しかし先述の通り、若かりし頃「短く」書く訓練を
積んでしまった私は、普通に書くと毎回のように
「文字数が足りない!」という問題に直面します。
所定の3分の1にも満たずに伝えるべきことを書き終え、
「さぁ…どうしよう…」と悩むこともしばしばです。
では残り3分の2で新しい要素を盛り込めば良いのですが、
細かい段落ごとに文字数を指定されている仕事の場合は
それもまた難しく…今日の原稿は特に悩みました。
現在放送中の朝ドラに出てくる青年歌人もそうですが、
今は仕事として様々な壁に向き合う中で、
「自分らしさ」など、もっともらしい言葉で
コーティングされている自分の殻を打ち破る時期に
私も来ているのだと思います。
「短く書き上げる訓練を積んだから」などと
言い訳をしている場合ではありませんね。
…というわけで、何とか千字に達しました。