在仙ライター生きていく日記

「きれいごと」と言われても。

春を思う

10月5日、一気に肌寒くなった仙台です。

これから寒暖を繰り返しながら

冬へと向かっていくのだと思うと、

無性に寂しくなってきます。

 

ただ、

これからの季節に寂しい印象を持つというのは、

ごくごく個人的なことです。

雑談における「好きな季節は?」という定番の質問で、

「秋」と答える人が周囲には多い気がします。

 

食欲の秋、芸術の秋、読書の秋、天高く馬肥ゆる秋……

秋は色々な冠のつく季節です。

何をするにも程よい気候のもとで、山々は彩られ、

収穫の喜びを分かち合い、豊かな気持ちで過ごす、

そんなイメージでしょうか。

 

私もこうしたポジティブイメージには肯定的ですが、

どうして「寂しい」印象が先行してしまうのか

自分なりに考えてみたところ、

どうも「田んぼ」のせいではないかと思い至りました。

 

私自身は街育ちですが、仙台を取り囲む平野部、

宮城県、もっと言えば東北地方一帯は、

言わずと知れた米どころです。

街を一歩出れば、のどかな田園風景が広がります。

 

田んぼは実りの季節を過ぎて稲刈りを終えると、

次の田起こしまで土色になりますが、

子どもの頃の私はその光景を寒々しいものとして

捉えていたようです。

今ならばそう短絡的には捉えないと思いますし、

美味しい新米を食べて恩恵に預かっているのだから…

とも思うのですが、

幼心に植え付けられた「秋=寂しい」イメージは

なかなか拭えないから不思議ですね。

 

日の短くなる辺りも影響していそうですが、

荒涼とした田園風景の影響が大きいと思われます。

 

逆に、田植えの時季、

黒光りする田んぼに早苗が揺れて、

向こう側に残雪の山々を見渡す光景が大好きです。

あくまでも農家の当事者では無いから呑気なことを

言えるのですが、そこはご容赦ください。

その頃になると新緑も鮮やかになり、

風景全体がキラキラと輝く印象もあります。

 

よって、「好きな季節は?」に対する私の答えは、

5月病などを差し引いても「初夏」です。

四季から選べと言われれば、「春」か「夏」で

迷うところですが、どちらかと言うと春でしょうか。

 

10月に春の話を書くだなんて、

現実逃避もいいところですね。

そんなに春が良いなら南米にでも行ってこいと

怒られそうですが、いずれ秋が深まってくれば、

きっと「この時季も良いかもな」と毎年思うのです。

 

そんなことを思えるようになる頃には、

街にはクリスマスソングが流れていることでしょう。

はぁ。