在仙ライター生きていく日記

「きれいごと」と言われても。

心配な町が増えていく

9月19日、生ぬるい風の吹く仙台です。

列島を縦断している台風が気がかりですが、

心配していた九州の親友宅はギリギリで

難を逃れたのことで、ホッとしました。

 

今回の件でつくづく実感したのは、

人とつながりを紡ぎながら生きていくと、

心配になる土地が増えるということです。

 

安全が担保された東北にいる私には、

基本的に、出身地でもない九州の時間降水量や

河川の水位情報を見ながらオロオロする必要は

無かったのかもしれません。

 

しかし、遠く離れた町の名は時として、

誰かの具体的な顔と紐付いていることがあります。

よくある話では、親の実家がある所、

誰それさんの生まれた、どこそこの町、

なにがしさんと出会った、なんとか村、というように。

もちろん思い入れに濃淡はありますし、

今回の私の場合は長い付き合いの相手だったので

とりわけ心配したということはありますが…。

 

そこが大都市や有名観光地ではなく、

全国メディアに登場する機会の多くない

ローカルな地名であればあるほど、

地名から想起される情報はその「誰か」に

紐付いたものに限定されていきます。

 

大きな自然災害が起きると、普段は目にする機会の

少ない遠くの市町村名が頻繁に放送されますが、

思い入れのある人間関係が増えるほどに、

誰かの顔が浮かぶ地名も増えていくというものです。

 

一人や二人の顔で済まない町もいくつかあります。

また、大きな市や有名な場所であっても、

ただ自分で訪れただけの所より、誰かとの思い出と

紐付いた所の方が当然ながら思い入れは強くなり、

災害時に「心配になる」度合いも高くなるようです。

 

何を当たり前のことを長々と、

と思われているかもしれません。

それでも、

今回のような大きな自然災害の時は

困ったものですが、平時に地図帳でも眺めた時に、

名物よりも先に具体的な誰かの顔の浮かぶ地名が

いくつも増えていく人生というのは、

なかなか悪くないものです。

 

とりあえず、ほんの少しですが、

ふるさと納税しました。